流氷上で生まれたアザラシの子どもたち


 3〜4月、流氷の上はアザラシたちのベビーラッシュ。海に浮かぶ氷の上は、アザラシにとって外敵の侵入を心配する必要のない安全な子育ての場所です。そのためかふわふわの白い産毛に包まれたアザラシの赤ちゃんは、あまりにも無邪気で無防備な姿をしていています。赤ちゃんは母親の脂肪分に富んだ濃厚なおっぱいを飲んで風船がふくらむようにどんどん大きくなります。

短い子育て期間
 しかし母と子の穏やかな日々は長くは続きません。白い産毛が抜け落ち始めるわずか生後1ヶ月にも満たない時点で、母親は次の繁殖の準備のため、赤ちゃんを残して姿を消します。
 氷の上に残された赤ちゃんは自ら海に潜り、食べ物をさがし、独りで生きていかねばなりません。アザラシの子にとって最も危険で、過酷な時期です。春遅くまで流氷の残る知床沿岸では、母乳で蓄えた脂肪をほとんど使い果たし、弱って岸にたどり着いたアザラシの子をしばしば見かけます。港の中に入ってチカ釣りの糸に絡まったり、排水路に迷い込んだりするものもいます。
 試練を乗り越え獲物(ゴマフアザラシでは魚やタコ、イカ、オキアミなど)を上手に捕らえるできるようになったアザラシの子は、どんどん食べて体重を増やしていきます。

流氷の去った後、アザラシはどこにいるの?
 流氷の去った後アザラシたちはどうしているのでしょうか。アザラシの多くは流氷の退縮とともに北上していきます(まれにアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」のように「誤って」南下してしまう迷子もいるようです)。流氷上で子育てするアザラシの中で、唯一ゴマフアザラシだけは一部道東沿岸に通年とどまるグループがいます。かつて知床半島でも知床岬などにゴマフアザラシが休息のため上陸する定着場所がありましたが、現在はほとんどいません。現在でも通年定着性のゴマフアザラシが見られるのは、知床周辺では野付半島です。
 このような定着型以外のアザラシは流氷が再びオホーツク海を南下し始めると、また知床沿岸に次第に戻ってきます。


  野付半島の定着タイプのゴマフアザラシ

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