
ヒグマに出会わないために PDF
知床ではヒグマは奥山だけにいるものではありません。国立公園に隣接したウトロ地区では住宅地周辺でも出没することがあります。
また半島基部でも、防風林や海岸林など緑地帯を通路にして、思わぬところでヒグマが出没することがあります。2003年4月17日には以久科原生花園にほど近い防風林内でヒグマが発見されています。斜里岳山麓から海岸近くまで、農耕地を横切る防風林を伝ってやってきたようです。
このヒグマは防風林内でシカの死体を食べていました。シカの数が増加した近年、春先にはエゾシカの死体がヒグマの格好の餌になっています。シカの死体を見つけたら、近づくないよう注意してください!
特に春は山菜採りなどで林に入る機会が多い時期です。十分注意してください。
知床半島の全域がヒグマの生息地です。野外で活動する場合、常にヒグマの存在を想定して行動する必要があります。
たいていヒグマはその優れた嗅覚と聴覚で、接近する人の存在に気づき、人よりも早くヒグマのほうから回避します。
しかし地形や気象の悪条件が重なると、ヒグマの嗅覚と聴覚でも、人に気づくのが遅れることがあります。ヒグマとの危険な遭遇を避けるには、ヒグマが人に気づきやすいように配慮して行動する必要があります。
鈴やラジオなど鳴り物を持ったり、声を出して歩くことで、人の存在をいち早くヒグマに知らせることは重要なことです。特に1人の場合は積極的に音を出して自分の存在をアピールする必要があります。

強風時はヒグマの嗅覚、聴覚でも、人に気づくのが遅れがちになります。

川沿いはヒグマにとって、音や、においのキャッチが難しい、突然至近距離でヒグマと人が出会う可能性が高い場所です。特に釣りはそこに人がいるとヒグマにわかりにくく、常に周囲に注意を払う必要があります。
ヒグマ(特に静止しているものに対する)の視力はあまりよくないと言われています。見通しの悪い場所などでは、音などで積極的に自分の存在を知らせましょう。対象をよく見ようとヒグマが後ろ足で立ち上がることがありますが、立ち上がってもあわてず、落ち着いて、人がいることをヒグマに知らせましょう。

自転車など人間側の移動速度が速い場合、ヒグマが人の接近に気づいても、回避する時間的余裕がないため、ばったり出会ってしまう危険があります。早朝、夕方の林間ツーリングは避けましょう。

ヒグマも食事中は注意力が散漫です。食事に夢中になっていると、人に気づくのが遅れがちです。特に山菜採りなどはヒグマのエサ場に入っていくことになる、十分な注意が必要です。採ることにあまり夢中にならないように、周囲の様子、ヒグマの糞や食べ痕に十分注意を払いましょう!
動物の死体に近づかない!春、ヒグマの重要な餌がエゾシカ
冬から春にかけて死亡したシカや弱ったシカをヒグマは積極的に餌として利用しています。特に、3〜4月は冬の間に弱ったシカが次々に死ぬ季節です。
ヒグマは人を見れば逃げていくのが普通ですが、シカの死体に餌付いたヒグマはまったく違います。シカの死体のような大きな餌は、一度に食べきれないので、ヒグマはその付近に居ついて、何日間にもわたって食べ続けます。
そんな時、近づくものがあれば、餌を奪われまいとして、ヒグマは攻撃的になります。怒りを爆発させて突進してくるヒグマを見たくなければ、シカの死体に不用意に近づいてはいけません。
土饅頭にご注意!
シカを食べる時、ヒグマはしばしば死体を土や落ち葉でおおって土饅頭のようにかくして食べ続けます。シカの死体が見あたらなくても、腐肉臭がすれば要注意です。また、近くにヒグマが見えなくとも、食べた跡があれば、近くに潜んでいます。

占有したシカの死体を食べる若いヒグマ。
もし、ここへ接近すれば猛烈な突進を受けることになる。
撮影:岡田秀明

ヒグマに餌を与えたり、生ゴミを放置することで間接的に餌付けをする行為は絶対にしてはいけません。
本来人を避けて、行動するヒグマも、人為的な餌に依存するようになると、「人=食べ物のある場所」になり、積極的に人に近づいたり、時には力ずくでも食べ物を奪い取ろうと人を襲うこともあります。このような危険なクマをつくり出すのは人間の無責任な行為が原因です。

今まで述べてきたように、本来ヒグマから人を回避します。しかし年間180万もの人が訪れる知床国立公園内のヒグマの中には、いつも身近でする車の音、人の声や気配に慣れてしまい、人が接近しても、回避行動をとらないヒグマも出てきています。
ヒグマと遭遇してしまった時の対処法は、状況によって異なります。ただどんな場合にでも言えることは
走らない。騒がない。急激な動作をしない。
慌てない。自分を落ち着かせる。ヒグマを落ち着かせる。状況を把握する。
ことです。
あくまでも出会わないようにすることが最善の安全策です。人間側が注意してヒグマと出会わないようにすることが重要です。
カプサイシンを成分としたヒグマ撃退スプレーは至近距離で噴射した場合のみに有効です。ただ携帯することで遭遇の際、(何もないよりも)冷静に行動できるというメリットもあります。
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