フィールドサイン(ねぐら)



 夜行性のモモンガは昼間はねぐらの中でずっと休息しています。ねぐらは樹洞やキツツキ類の古巣などを利用します。この他夏には樹皮や笹の葉でできた鳥の巣のようなねぐらを木の又などに作ることもあります。
 ねぐらの中には苔と樹皮を細長く割いたものを保温・吸湿材として敷き詰め、清潔に保ちますが、ねぐらの中が汚れると放棄して、別の場所に移ってしまいます。


ねぐらデータ
樹種 樹木の状態 穴の種類 胸高直径 入口高さ 入口方角 入口長径 入口短径 頭数
  生死   cm cm   cm cm
トドマツ   天然 35 400 西南西 14 2.5 2
トドマツ   アカゲラ 27 290 北西 4 4 2
ハリギリ   アカゲラ 43.6 320 東北東 5.5 5 2
トドマツ 枯死木 先折クマゲラ 22 315 東北東 10 5 3
イチイ 枯死木 天然 29 160 西 6 3 4
ドロノキ   天然 25 200 17 4 1
トドマツ   アカゲラ 27 220 西南西 5 3 1
トドマツ   クマゲラ 28 160 東南東 10 4.5 1
ヤチダモ 枯死木 先折アカゲラ 24 360 西 4.8 4.3 2
シランカバ 枯死木 先折アカゲラ 28 170 南南西 4.5 4.5 2
キハダ   天然 48 300 未調査 未調査 3
ハリギリ   天然 50 400 東北東 未調査 未調査 3
ミズナラ   天然 30 400 南西 未調査 未調査 ?
樹種
 樹種はトドマツ、ハリギリ、イチイ、ドロノキ、ヤチダモ、シラカンバ、キハダの7種で、トドマツがもっとも多く5ヶ所、ヤチダモ、ハリギリが共に2ヶ所と続いた。他の樹種にくらべるとトドマツが多い結果となった。

営巣木の生死
 13ヶ所の営巣木のうち、5本が立ち枯れ木で、そのうち4本は樹幹が途中で折れていた。樹幹が途中で折れた立ち枯れ木のうち、調査から約2年経過した2002年末現在、1本が倒壊し営巣木として使用不可能になり、さらにもう1本が傾き、倒壊寸前の状態となった。

営巣木のサイズなど
 営巣木の胸高直径は22〜50cmで、出入口の地上高は160〜500cmであった。ただし、大径木の高所のねぐらは発見しずらく、観察も難しいため見落としている可能性がある。実際にミズナラの大径木などでは、糞や尿などの痕跡が発見されても、ねぐらの位置が特定できない場合がしばしばあった。このような例では、目のとどかない高所にねぐらがあったため、発見できなかった可能性がある。一方、出入口の地上高が160、170cmと積雪時には中を覗くことができる位置でも利用されていた。
 胸高直径の最小値は22cmであったが、今回全てのねぐらが冬季使用されていたものなので、胸高直径22cm程度の樹木でも、その保温性に問題はないようであった。 

ねぐらの成因
 ねぐらの成因としてはキツツキ類の古巣がもっとも多かった。出入口は円形の場合、直径4〜5.5cmで、円形以外では長径最大14cm、短径最小2.5cmであった(長径×短径:7.40±SD4.37×3.98±0.79, n=12)。



  エゾモモンガがねぐらとして利用していたキツツキの古巣(断面)

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